Apple Payの使い心地は快適!この安心感は日本人の心を掴むか?

October 28th, 2014

Apple Payの運用が始まり、早速使ってみた。決済処理はスムーズで、あっけないほど簡単に使えた。Apple Payは高度なセキュリティー機能を搭載しており、安心してカードで買い物ができる。アメリカはオバマ大統領の号令でカードセキュリティー強化を急いでいる。Apple Payの役割に期待が寄せられている。モバイル決済先進国の日本でも、Apple Payの安心感は消費者の心を掴むかもしれない。

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Apple Payを使ってみる

Apple Payの機能は良く知られているが、実際に使うと、製品コンセプトを実感できる。iPhone 6でApple Payを利用したが、操作性は快適で、完成度の高い製品デザインに驚かされた。Apple PayはiOS 8.1から利用できる。iPhone 6にインストールすると、設定画面に「Passbook & Apple Pay」という項目(上の写真左側、三段目) が追加となり、ここでApple Payの設定を行う。この項目にタッチするとApple Pay設定画面に移り (同右側)、クレジットカードやデビットカードを登録する。

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クレジットカードを登録

カード登録画面でApple IDによる本人認証を行った後、カード情報の入力を行う。上の写真はAmerican Expressを登録している様子で、名前、カード番号、有効期限、セキュリティー番号を入力していく (上の写真左側)。カメラアイコンにタッチしてカードの撮影を行うと (同右側)、カード番号と有効期限が、自動で入力される。

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登録が完了すると、サムネールとカード名称が表示される (上の写真左側)。この画面で利用するカードを選択し、住所、メールアドレス、電話番号などを設定する。登録されたカードはPassbookに格納される (同右側)。

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店舗で買い物をする

カード登録が完了したApple Payで買い物をした。ドラッグストアー「Walgreens」でハロウィン用にチョコレートを購入。レジにはクレジットカードを読み込むリーダーが備え付けてある (上の写真)。リーダー上部の楕円形の部分がNFCリーダー。スマートカードなどで利用される。支払いの際にiPhone 6をNFCリーダーにかざすと、ロック画面にApple Pay画面が表示される (上の写真、iPhone画面)。ここに登録したカードが表示され、「Pay with Touch ID」と操作の方法が示される。リーダー側にはApple Payのロゴが表示され、正常に処理が進んでいることを確認できる (リーダー画面右下)。

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ここで親指をホームボタンにあて本人認証を行うと、支払いプロセスが稼働 (上の写真)。支払処理に要した時間は瞬間的で、通常のカード処理と変わらない。支払いが完了すると、そのログがPassbookのApple Payに表示される。ここでリアルタイムに支払い金額をチェックできる。

実はApple Payで支払いが完了した直後、後ろで「ウァーオー」と歓声が上がった。振り向くと年配の婦人が、一連の様子を見ており、「電話で買い物ができるの?」と話しかけてきた。日本では馴染みの方式であるが、婦人には衝撃的な光景に映ったようだ。アメリカではなじみの薄い”おサイフケータイ”であるが、Appleの参入で認知度が上がり、状況は一変する兆しを感じた。

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アプリ内決済でも利用できる

Apple Payはアプリ内での支払いにも利用できる。対象アプリは、Groupon、OpenTable、Starbucks、Target、Uberなど。上の写真は共同購入型クーポン「Groupon」で買い物をしている様子。アプリでクーポンを購入する際は、最下部のApple Payボタンにタッチして支払いする (上の写真左側)。実際にApple Payで支払いを行ったが、決済処理は非常にスムーズ。ボタンにタッチすると、Touch ID画面が表示され、ここに指をあてて認証を行った。認証が完了すると購買完了画面が表示された (同右側)。一連の流れは店舗での買い物と同じで、ワンタッチで安全に買い物ができ、大変便利。Amazonの1-Click注文と同等の便利さだ。Apple Payのアプリ内支払いはバグが多いと聞いていたが、全く問題なく進んだ。ここでもApple Payの完成度の高さを感じた。アプリ内支払いは最新のiPad (iPad Air 2とiPad mini 3) でも利用できる。店舗での決済はiPhone 6 Plusでも利用できる。

Apple Payを利用できるカード

Apple Payは主要銀行やカード会社から支持を集めている。Apple Payで利用できるカードはVisa、MasterCard、及びAmerican Express。対象となるカード発行銀行はBank of America、Citi、Chaseなど五行。Apple Payを使える小売店舗は、Macy’s、Walgreens、Whole Foods、Apple Storeなど22万店舗。これら店舗は、前述のWalgreensの事例の通り、スマートカード向けにNFCリーダーを搭載したターミナルを設置している。一方、アメリカのNFCリーダー普及率は高くなく、Apple Payを使える店舗はまだ少ないというのも事実。

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カード会社は積極的

American ExpressはApple Payを積極的にプロモーションしている。American ExpressからApple Payの利用を促すメールを受信した (上の写真)。また、Apple PayにAmerican Expressカードを登録すると、その確認メールを受信し、関連サービスも充実している。American Expressは、Apple Payは非接触型決済でスマートに買い物ができる点のほか、リアルタイムで支払い監視ができ、安全である点をアピールしている。カード会社にとっては、Apple Payの安全性が売りになっていることを窺わせる。

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銀行はApple Payでイメージアップ

カードを発行する銀行もApple Payを積極的にプロモーションしている。 上の写真はBank of Americaの事例で、専用サイトで製品をアピールしている。多くの銀行はApple Payの採用で売り上げが増える他に、マーケティング効果があると見ている。銀行はApple Payで決済を行うと、決済金額の0.15%を手数料としてAppleに支払うが、それに見合う効果があると期待している。アメリカの銀行は先進技術の導入に消極的との印象があるが、Apple Payの採用でイメージアップを目指している。

一番安全な決済方式

Apple Payはアメリカで一番安全な決済システムとも言われている。カード番号などはデバイス固有の番号「Device Account Number」に変換され、Secure Elementに格納される。支払処理ではトランザクション毎に固有な番号が生成され、Device Account Numberと共に決済システムに送信される。所謂ワンタイム・トークンによる決済方式で、カード情報が送信されることは無く、カード情報の盗聴や窃取による犯罪を防止できる。また利用時にはTouch IDを使った指紋認証で本人を確認する。三重に安全対策が取られている。

アメリカで多発するカード犯罪

アメリカでは昨年末から、サイバー攻撃によるカード情報流出事件が多発している。ディスカウント百貨店「Target」から昨年12月、4000万件のクレジットカードとデビットカード情報が流出した。百貨店「Neiman Marcus」は、今年1月、110万人のクレジットカード情報が流出したと発表。ホームセンター「Home Depot」は今年9月、5600万件のクレジットカード情報が流出したと発表。これが最大規模のカード情報流出事件となった。

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カードに対する信頼は失墜

上述Neiman Marcusの事件では筆者宅も被害に合った。American Expressからレターを受け取り、「カードを使用した小売店でデータファイルへの不正アクセスを検知した」と説明を受けた (上の写真)。店舗名は記載されていないが、ニュース報道などでNeiman Marcusと特定できる。「貴方の氏名とカード情報が影響を受けたが、不正使用は検知されていない」とも説明されているが、心中は穏やかでない。この事件以来、月々のステートメントは細かくチェックし、不正使用が無いか確認している。またこの事件以来、American Expressの使用は控えている。著者だけでなく多くの人が被害に合っており、アメリカ社会のカードに対する信頼は失墜したと言っても過言ではない。

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でもICカードへの移行は緩やか

アメリカはICカードの適用が大きく後れている。ICカードの正式名称はEMV (Europay, MasterCard, and Visa) カードで、カードにICチップを搭載した形式で、安全性が大幅に向上する。利用者はICカードをリーダーに差し込み、ディスプレイの指示に従って操作する (上の写真)。ICカードはワンタイムコードを生成し、なりすましを防ぐことができる。利用者は四桁のPINを入力し認証を行う。Visaなどは2015年10月1日より、ICカードに移行することを発表している。これ以降は、ICカードに対応していない小売店舗はなりすまし不正に対して責任を負うこととなる。ヨーロッパや日本で普及しているICカードであるが、アメリカはようやく動き始めた感がある。

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オバマ政権が普及を後押し

上述のカード情報流出事件を受け、オバマ政権が動き出した。オバマ大統領は、10月17日、「BuySecure Initiative」というプロジェクトを発足し、EMV仕様カードへの移行を促した (上の写真)。連邦政府が発行するクレジットカードはICを搭載し、PINで本人認証を行う。この方式を「Chip & PIN」と呼んでいる。連邦政府内のリーダーはICカードに対応する。このプロジェクトは、民間企業の取り組みについても規定している。Home Depot、Target、Walgreens、 及びWalmartは2015年1月までに、Chip & PIN対応のターミナルを導入する。オバマ大統領の号令で、小売店舗とカード会社は、安全なカード決済に向けて歩みを速めた。

アメリカで一気に普及するか

オバマ政権の後押しで、事件当事者の小売店は一斉に、ICカード対応に向い始めた。このようなタイミングでApple Payの運用が始まった。カード決済でのセキュリティーの重要性を理解したアメリカの消費は、一気にApple Payの利用を始める可能性を含んでいる。著者自身も、使用を控えていたAmerican Expressを、Apple Payで安心して利用できる。

この安心感を日本の消費者はどう評価

おサイフケータイが普及している日本はモバイル決済先進国であり、Apple Payに新鮮さを感じない向きもある。また、Apple Payの無線通信規格はType A/Bで、FeliCaとは非互換であり、これが参入障壁になるとの見方もある。しかし、実際にApple Payを使ってみると、この安心感は日本の消費者の心を掴む可能性を秘めているとも感じた。セキュリティー技術とアップルブランドで、Apple PayはGoogle Wallet (Google版モバイル決済) を使ったときと比べ、格段に安心感が高い。圧倒的にリードしているおサイフケータイであるが、再度、日本の先進技術が国際標準で置き換えられる事態も想定され、予断は許されない。Apple Payはアメリカだけでなく、世界市場を巻き込んで展開する可能性を秘めている。

ニュース報道から映画撮影まで、無人飛行機を使ったビジネスが本格始動

October 10th, 2014

個人が趣味で使うだけでなく、企業は早くから無人飛行機「ドローン」を活用したビジネスに着目してきた。アメリカは規制が厳しく出遅れていたが、「ドローン解禁」を睨んで、大手企業が動き始めた。日常生活との関わりが深まったドローンビジネスをレポートする。

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大手メディアがドローン報道

ニュース報道でドローンから撮影した映像を放送するケースが急増している。これは「ドローン・ジャーナリズム」とも呼ばれ、ドローンをニュース報道で活用する手法だ。上の写真は香港の民主派によるデモの様子をドローンから撮影したもので、Wall Street Journalが電子版で放送した。市の中心部を映したもので、デモの規模が一目でわかり、空撮の威力を感じる。ドローンによるニュース報道は数年前から始まり、CNNが竜巻の被害状況などを報道してきた。しかし、アメリカにおけるドローンの商用利用は規制されているため、報道各社はドローン報道を自粛してきた。ドローン解禁を前にして、Wall Street Journalなど大手メディアは、再度、ドローン報道に意欲を見せている。

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テレビ局もドローンから撮影

テレビニュースでもドローンの利用が始まった。サンフランシスコ地区のテレビ局NBC Bay Areaは、Apple新本社の建設現場を、ドローンで撮影した映像を使って報道した (上の写真)。新本社は「スペースシップ」とも呼ばれ宇宙船を思わせる形状をしている。ドローンで撮影したビデオから、この形状が確認できる。このビデオはLocusLabs (インドアマップ開発企業) 創業者がDJI Phantom 2で撮影したもの。NBCはヘリコプターによる撮影を行っているが、視聴者がドローンで撮影したビデオも積極的にニュース番組で報道している。テレビ局はドローンを使った撮影はできないが、個人だと規制に抵触しない点を利用している。少し苦しい言い訳であるが、テレビ局もドローンに注目している。

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映画撮影でドローン使用を認められる

アメリカにおいてドローンを商用で利用するためにはFAA (アメリカ連邦航空局) の認可が必要となる。FAAはBPがドローンを使ってオイルパイプラインの検査を行うことを認めたが、事実上、アメリカにおいてはドローンの商用運行は規制されている。しかし、FAAは9月25日、映画製作会社に対し、ドローンを使ったビデオ撮影を認めた。規制の例外措置という位置付けとなる。

対象となったのはAstraeus Aerialなど映画撮影会社六社。Astraeus Aerialはドローンを使った撮影技術を開発している会社で、ドローンを高精度で制御し撮影できる点に特徴がある。被写体に10センチまで接近して撮影できる技術がある。上の写真はドローンを使って撮影したビデオのワンシーンで、主人公が岩山に登る様子を、上空から追尾しながら撮影している。

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アメリカ企業はドローンを使った映画撮影を国外で行ってきた。007シリーズ「Skyfall」で、James Bondがオートバイで追跡するシーン (上の写真) はトルコで撮影された。他に「Star Trek: Into Darkness」、 「The Hunger Games」、「Iron Man 3」などが国外でドローンを使って撮影された。これからはドローンを使った撮影をアメリカ国内で行え、大幅にロジスティックスが改善される。FAAはドローンに関する法令整備と並行して、企業からの申し立てに対して事案ごとに審査する方針を取っている。今後も特例措置が続くと期待されている。

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ドローンからスポーツ中継

ドローンでスポーツ報道が大きく変わった。ソチ冬季オリンピックで、スノーボードやスキー・フリースタイルなどの競技が、ドローンで撮影されたことは記憶に新しい。ドローンはコースに沿って飛行し、選手を上空から撮影した。今までにないアングルで迫力のある映像を見ることができた。ソチ・オリンピックで使われたドローンには、HDカメラの他に、撮影した映像を送信するトランスミッターも搭載された。視聴者は競技をライブで見ることができた。競技では固定カメラやワイヤーに吊るしたSpider Cameraなども使われた。またヘリコプターからの撮影も行われた。ドローンは低コストで安全に競技を撮影することができる。今後はゴルフ、フットバール、F1モータースポーツなどに利用が広がると言われている。

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ドローンによる盗撮問題

ドローンを使ったスポーツ報道が始まる一方で、スポーツ競技をドローンから盗撮する事件が続発している。    全米オープンテニス会場でドローンを飛ばしたとして逮捕さる事件が発生。女子シングルス準々決勝でSerena WilliamsとFlavia Pennettaの試合がArthur Ashe Stadium (上の写真、中央のコート) で行われていた。Daniel Feigheryという男性は17番コート (右下隅のコート) 近辺でドローンを飛行したとして逮捕された。理由は危険な行為であるが、試合の盗撮が目的であったと言われている。他に、ドローンで映画ロケ現場を盗撮する事件なども発生し、社会問題となっている。企業はドローンを使ったビジネスに乗り出しているが、ドローンによる盗撮への対応も必要となってきた。

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舞台芸術でドローンを使う

舞台の上で人間と一緒にダンスをするドローンが話題となっている。Cirque du Soleilはカナダのモントリオールに拠点を置く芸術性の高いサーカス団で、ドローンを取り入れたショーを公開した。これは「Sparked」というショーで、10台のドローンが人間と共演する (上の写真)。ドローンはランプの傘に入っていて、音楽に合わせてフライング・ダンスを行う。Phantom 2が使われ、音楽に合わせて10台が飛行するようプログラムされている。主人公が腕を上げればランプが上昇し、腕を下げれば下降する。人間のダンスとシンクロナイズしてストーリーが展開する。ドローンの動きが神秘的で、独自の雰囲気を醸し出している。舞台芸術でドローンを使った最初のケースと思われる。

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警察・消防から民間利用へ

FAAは警察や消防のドローン使用については許可しており、犯罪捜査、消火活動、災害救助などに早くから利用されてきた。上の写真は地元San Jose警察が導入したドローンで、人間が近寄れない危険物処理に活用するとしている。一方、前述の通り、FAAはドローンの商用利用には慎重で、アメリカにおける利用は大きく制限されてきた。アメリカ議会や民間企業からの圧力で、FAAはドローンを航空管制システムに統合すべく、準備を始めた。FAAはタイムラインは示していないが、早ければ来年末にも骨子が決まると言われている。それまでは、FAAは個別に対応する姿勢を示し、企業のドローンビジネスが大きく動き始めた。

無人ヘリの操縦を体験、衝撃的に簡単!大流行の兆しを感じた

October 3rd, 2014

アメリカで無人ヘリの利用が広がっている。消費者向けの無人ヘリはカメラを搭載し、上空からの撮影で使われる。所謂「フライングカメラ」である。こう聞かされてもピンとこなったが、実際に無人ヘリを操縦してみてその理由が分かった。いまブームとなっている無人ヘリをレポートする。

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無人ヘリを飛ばしてみる

無人ヘリは「Unmanned Aerial Vehicle」 (無人航空機、通称「ドローン」) の一形態で、複数枚のプロペラを搭載した小型航空機。四基のプロペラを搭載した機種は「クワッドコプター」と呼ばれ、一番普及が進んでいる。サンフランシスコでこのフライトレッスンを受け、操作方法を学んだ。これは「Photojojo」という新興企業が行っているプログラムで、インストラクターが分かり易く説明してくれた。

使用機種はDJI社の「Phantom 2」 (上の写真) 。シンプルなデザインで「空のiPhone」と言われ人気が高い。Phantom 2にアクションカメラ「GoPro Hero3+」 (機体下部のボックス) を搭載し、上空からビデオ撮影を行った。無人ヘリの魅力は実際に操作して分かった。操作は簡単で、空からみる映像は新鮮で、異次元の体験となった。初めてカメラで撮影した時の衝撃を思い出した。

無人ヘリのセットアップ

フライト前に無人ヘリのセットアップを行った。まず、Phantom 2にプロペラ4枚を装着する。プロペラは2基が対になり、それぞれ反対方向に回転する。このため、プロペラによりボルトを締める方向が異なる。次にバッテリーを装着し、ライト・インディケーターで容量を確認。フル充電で30分のフライトができる。最後にリモコンの電源を入れ、機体との無線通信のキャリブレーションを行い、セットアップが完了。

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リモコン操作は直観的

実際にリモコン (上の写真) を操作し無人ヘリを飛ばした。左右のジョイスティックを下方内側に引くと、これがパワーオンの操作で、プロペラが回転を始める。左側のジョイスティックで上昇と下降を操作する。上に押すと上昇し、下に引くと下降する。指を離すとその場所でホバリングする。風が吹いていても自動で補正し、その場所で静止する。通信が途絶えても、自律的に元の場所に戻り着陸する。右側ジョイスティックで水平方向の操作を行う。前後左右に押すと、その方向に飛行。先頭の写真の赤色の目印が前に当たる。言葉にすると長くなるが、実際の操作は直観的で、衝撃的に簡単。インストラクターはしきりに、あなたは操作が上手いと褒めてくれたが、これはソフトウェア技術の威力。誰が操作してもうまく飛ぶように設計されている。

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無人ヘリからビデオで撮影

フライトの様子は搭載したGoProカメラでビデオ撮影した。カメラはジンバルでPhantom 2に搭載され、常に前方の景色を撮影する。機体が傾いてもカメラは正面を向いている。リモコン背後のレバーを動かして、カメラを下方向に向けることもできる。上の写真は上空80フィート (24メートル)で、静止している状態。風が強かったが、Phantom 2は自律的に制御し、ほぼ静止の状態。目の前にサンフランシスコの街並みが見える。

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上の写真はカメラを真下に向けて、地上で操作している様子を映したもの。無人ヘリは子供たちに大人気で、フライト中にたくさんの親子が集まってきた。1時間弱のレッスンでPhantom 2の操作を学習できた。リモコン操作は心地よく、直観的に操作できる。ジョイスティックへのレスポンスは速く、無人ヘリは機敏に反応する。初めてのフライトは感動的だった。

無人ヘリはフライングカメラ

GoProカメラから撮影したビデオはクリアーで、上空から見る景色は素晴らしい。無人ヘリはほぼ例外なくGoProカメラを搭載しており、無人ヘリは「フライングカメラ」としての使い方が定着してきた。

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ウェブサイトには無人ヘリから撮影したビデオが数多く掲載されている。今までに見たことのないアングルから撮影されている。Jos Stiglinghはアメリカ独立記念日 (7月4日) に、フロリダ州のウエストパームビーチにおいて、DJI Phantom 2で花火を上空から撮影した (上の写真)。

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Stiglinghは少し無謀にも、無人ヘリを花火に近づけ、内側からの撮影を試みた (上の写真)。無人ヘリは花火が破裂する中を飛行しその様子を撮影。花火から飛び散る火の粉が無人ヘリをかすめ飛ぶ様子が写っている。無人ヘリは360度回転しながら花火を撮影し、三次元で花火を楽しめる。花火は上空で見ると大迫力で迫って来る。

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無人ヘリで自分撮り

無人ヘリを使って空からSelfie (自分撮り) をするケースが増えている。結婚式の記念写真やゴルフでの集合写真などで使われている。また家族が集まった時の記念写真にも使われる (上の写真)。

無人ヘリは自分のパフォーマンスを撮影するツールとしても使われている。「Follow Me」という機能を使うと、無人ヘリが自動で追いかけ、自分のプレーを空から撮影する。この機能はHEXO+というベンチャー企業などから提供され、利用者を自動で追尾してビデオ撮影する。

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上の写真は、スケートボードで公園内を滑走している様子を無人ヘリが追尾し、上空からビデオ撮影したもの。

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HEXO+はスポーツ競技で人気がある。上の写真はオートバイでジャンプ台から飛び出した様子をビデオ撮影したもの。撮影条件は専用アプリで設定する。アプリで撮影する大きさ (被写体にどれだけ接近するか) やカメラのアングルを設定。無人ヘリは被写体が動くまで上空で待機。被写体が動くと無人ヘリが追尾して設定された条件で撮影を行う。アドベンチャー・フィルムの製作では、ヘリコプターやハングライダーが使われ、パイロットが被写体に接近して撮影する。HEXO+を使うと自分一人で迫力ある映像が撮れ、誰でも手軽にアドベンチャー映画の製作ができる。

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無人ヘリを旅行にもっていく

最近では旅行する時に、カメラに加え、無人ヘリを持参する人が増えてきた。無人ヘリを専用バッグに入れて持ち運ぶ。綺麗な景色をカメラで撮影するだけでなく、無人ヘリで上空からも撮影する。上の写真はアフリカでキリンが草原を走っている様子を撮影したもの。カメラと交換レンズを持参する感覚で無人ヘリを携行する。

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安全性やプライバシー問題

無人ヘリが増えるにつれ、安全性やプライバシー問題も浮上してきた。グランドキャニオン国立公園で夕日を見ていた観光客が、無人ヘリに静寂を破られた、という問題がニュースとなった。このような問題に対応するため、アメリカ国立公園は公園内で無人ヘリの飛行を禁止すると発表した。しかし、発表の後も問題が発生している。イエローストーン国立公園では、無人ヘリがGrand Prismatic Spring (上の写真、アメリカ最大の熱水泉) に墜落するという事故が発生。無人ヘリ利用では、社会ルールを守ることが求められている。

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個人が利用できる空域

FAA (アメリカ連邦航空局) は趣味で楽しむドローンについては、ライセンス無しで運用できるとしている。但し、大中規模の空港や軍の空港から5マイル (8キロメートル) 以内は飛行禁止。高度は400フィート (120メートル) までで、常に視界に入っている必要がある。また前述の通り、国立公園内での飛行は禁止されている。これら条件を地図上にプロットすると、サンフランシスコ地区では上の写真のようになる。飛行禁止区域が赤のシェイドで示されている。四つの空港や国立公園があるため、多くの地域で飛行禁止となっている。このため、愛好者たちはバークレーのLake Merrittや、サンフランシスコ沖のTreasure Islandなどでフライトを楽しんでいる。もっとも、近くの公園で無人ヘリを飛ばしている光景を目にし、必ずしも厳格にルールが守られている訳ではない。

フライングカメラとしてブレークする兆し

無人ヘリはフライングカメラと呼ばれるが、これだけ簡単に飛ばせると、その意味を実感できる。Phantom 2の価格は829ドル (GoProカメラ付き) と安くはないが、一眼レフカメラの価格帯とオーバーラップする。一眼レフカメラを購入する感覚で無人ヘリを入手するオプションが生まれた。ソフトウェア技術の向上で格段に操作しやすくなった無人ヘリは、フライングカメラとしてブレークする兆しを感じた。

バーチャルリアリティはゲームから映画に進化!Zuckerbergの構想が形となる

September 26th, 2014

バーチャルリアリティー (VR) 映画の製作が始まった。VR端末で360度全方向の3D画像を体験できる。体を捻れば、後ろの映像が見える。VR端末はゲームだけでなく、映画でも威力を発揮する。映像メディアがVRに進化している。

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Zuckerbergのビジョン

ゴーグル型VR端末を開発しているOculus VRは、新世代のゲーム機として、急速に普及する勢いをみせている。Facebookが同社を買収した際に、CEOのMark Zuckerbergは、「VRは次世代のコミュニケーション媒体」と述べている。自宅にいながら世界を体験できるという意味である。Zuckerbergのこのビジョンが形を成してきた。

シリコンバレーのベンチャーがVR映画の製作を始めたのだ。これはJauntという企業で、VR映画製作のためのカメラ (上の写真) やソフトウェアを開発。視聴者は「Oculus Rift」などVR端末を着装して映画を楽しむ。VR映画は360度全方向に3D画像を映し出し、視線を変えるとその方向の画像を見ることができる。この方式は、「360/3D VR」と呼ばれている。

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VR映画撮影カメラ

VR映画制作のためのカメラはJauntカメラと呼ばれる。先頭の写真は開発中のもので、上の写真が現行モデル。現行モデルは14台のGoProカメラを搭載し、HD (1080p) で毎秒60フレーム撮影。カメラは市販製品であるが、Jauntの技術はソフトウエアにある。撮影された映像をソフトウェアで繋ぎ合わせて、一つの画像とする。具体的には、14のイメージを繋ぎ合わせ、一つの360/3D VRイメージを生成。このため、色調、ホワイトバランス、レンズの歪みなどを補正する。1秒のイメージを生成するために20秒かかる。

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VR映画で何を表現するか

Jauntは既にVR映画製作に乗り出している。同社は映画プロダクション「New Deal Studios」と共同で、第二次世界大戦を舞台とした映画「The Mission」を制作中。アメリカ軍の落下傘部隊がロシアで敵地に降下し、ドイツ軍に囚われるというストーリー。撮影ではJauntカメラが使われ、落下傘にも搭載して撮影された (上の写真)。観客は敵地内での戦闘を360度のアングルで見ることができる。振り返ると、背後にはドイツ軍が迫り、現実と仮想の垣根が低くなる。オーディオも360度で再生され、顔を向けた方から音が聞こえる。

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Jauntはミュージックビデオでも威力を発揮する。8月14日、 Paul McCartneyのコンサートがサンフランシスコのCandlestick Parkで行われた。ビートルズが48年前、コンサートを行った会場である。コンサートの模様はJauntカメラで撮影された (上の写真)。ステージに複数のJauntカメラを設置してバンドの演奏を撮影。このビデオでは、視聴者がステージ上で、360度の視野でコンサートを楽しめる。ビデオはまだ公開されていないが、隣でポールがギターを弾き、視線を移せば熱狂した観客のリアクションを見れるのかもしれない。

Cinemtic VRがキーワード

CEOのJens ChristensenはJauntの戦略を明らかにし、「Cinematic VR」がビジネスチャンスと述べている。Cinematic VRとは、映像を360/3D VRで表現する手法を示す。Christensenが注目している分野は、上述の映画と音楽に加え、スポーツ、旅行、ニュースである。スポーツでは試合を360/3D VRイメージで中継し、視聴者は応援しているチームの中で観戦できる。

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観光では、自宅にいながら世界旅行ができる。世界遺産を360/3D VRイメージで体験し、あたかもその場所にいるような仮想旅行ができる。上の写真は観光地をJauntカメラで撮影している様子。ニュースでは事件の最前線に立つことができる。シリアでの戦闘の激しさを実感できるのかもしれない。

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VR端末の急速な普及

Jauntで製作されたコンテンツはVR端末で楽しむ (上の写真)。このため、Jauntはコンテンツ再生のソフトウェアを開発している。JauntはVR端末サポート対象機種については明らかにしていないが、Oculus RiftやSony Project Morpheusなどがリストに入ると思われる。また、JauntはSamsungとGear VR向けに、コンテンツを共同開発している。Gear VRとはSamsungがOculus VRと開発したVR端末で、SamsungはVR技術に集中的に投資している。JauntはiPad向けにもコンテンツを供給する。この場合、iPadを移動すると、その方向の映像を見ることができる。FacebookのOculus VR買収で、消費者のVRへの関心が高まり、VR端末の普及が急速に進むとみられている。

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上の写真はNASAで行われた、SpaceX打ち上げ成功を記念するイベント。Jauntは打ち上げを支えた技術を360/3D VRで捉えている。

VR映画特有の課題もある

一方、VR映画特有の検討課題も見えてきた。VR映画は360度全方向を撮影するため、撮影クルーはカメラに映らないよう、隠れている必要がある。撮影現場でのスタッフ配置など、撮影手順が大きく変わる。観客は360度の映像を楽しめるが、どこでストーリーが展開しているかを掴む必要がある。観客は何処を向けばいいのか、切っ掛けを示す工夫が必要となり、映画製作の手法も大きく変わる。更に、カメラを移動すると「VR Sickness」 (VR酔い) になるため、カメラの位置を固定してストーリーを展開する工夫も必要となる。新しいメディアには新しい検討課題も出てくる。

メディア企業の期待を背負っている

Jauntは2013年にJens Christensenなどが設立し、イギリス大手放送事業者BSkyBから出資を受けた。その後、Google Venturesなど主要ベンチャーキャピタルが投資。アドバイザーにはGoogle Glass開発者のBabak Parvizが入っている。Dolby会長Peter GotcherやSling Media創設者Blake Krikorianなど、メディア関係者が投資に加わっている。メディア企業から将来性を期待されていることが窺える。また、Christensenは、ハリウッドの映画プロダクションが興味を示していると述べ、共同で映画制作を進めることを示唆している。Zuckerbergのビジョンが示している通り、消費者のエクスペリエンスがVRに向い、メディアの役割が大きく変わろうとしている。

Googleはスマートシティの研究開発に着手、都市交通をデータ解析する技術に投資

September 19th, 2014

Googleは高度技術研究所「Google X」に続き、第二の研究機関「Google Y」の設立を計画している。Google Yは効率的な空港やモデル都市の開発を手掛ける。一方、Google Venturesは「Urban Engines」という会社に投資し、データ解析の手法で交通渋滞を緩和する技術を開発している。Googleは社会インフラ整備事業に乗り出そうとしている。

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Google Yでスマートシティの研究

Google CEOのLarry Pageは一年前、「Google 2.0」というプロジェクトをスタートした。The Informationが9月18日に報道した。このプロジェクトは社会が直面している大きな課題を解決することを目指す。同時に、Googleの次の事業モデルを模索する、という意味もある。最初のテーマとして、空港や都市の整備が挙げられた。更に、これらテーマを推進するために、Google Yの創設が提案された。

上の写真は昨年のGoogle I/O基調講演で、PageはGoogleの新たな挑戦について説明した。具体的なプロジェクトは示されなかったが、PageはGoogle 2.0の構想を抱いていたと思われる。Google XはSergey Brinの指揮の下、自動運転車やGoogle Glassなど、将来技術の研究を行っている。これに対して、Google Yは長期レンジの研究で、大規模プロジェクトを対象としている点に特徴がある。必ずしも採算性を意識している訳ではない。Googleはエネルギー分野では、風力発電や太陽熱発電など、既に大規模プロジェクトを展開している。シリコンバレーを含む北カリフォルニアは、Googleが開発した太陽熱発電所 (Ivanpah Solar Power Facility) から電力を購入している。今度は、Google Yでスマートシティの研究開発に向うこととなる。

都市交通解析システムへ投資

これに先行しGoogle Venturesは、Urban Enginesというベンチャー企業に投資を行った。Urban Enginesはカリフォルニア州ロスアルトスに拠点を置き、都市交通解析システムを開発。Urban Enginesは、センサーやカメラなどのハードウェアを使わないで、データ解析の手法で、電車やバスの運行状況をモニターする。更に、インセンティブプログラムで、人間心理に訴えて、混雑緩和を行う手法を開発。システムが生成するログデータを解析することで、都市交通を解析する点に特徴がある。

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データ解析で運行状況モニター

上の写真はその事例で、鉄道会社が電車運行状況をモニターしている様子。ブラウザー上に、電車の位置や混雑状況が表示される。電車の位置は路線上の箱で、混雑度は箱が塗りつぶされた割合で示される。駅は丸印で、その隣のバーは、駅の混雑状況を示している。駅に収容人数を超える乗客がいる際は警告メッセージをあげる。画面左上で日時を指定し、再生ボタンを押すと、動画で時間ごとの変化を見ることができる。管理者は、ハードウェア機器の導入無しで、電車の運行を監視できる。

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運行監視システムの仕組み

Urban Enginesは既存システムが生成するデータログを解析することで、運行状況を把握する。乗客の動きは、乗車カード (JR東日本のSuicaのようなカード) の情報を入力とする。電車やバスの位置はGPSなどの位置情報を利用。乗客一人一人がセンサーの役割を果たし、この手法は「クラウドセンシング」と呼ばれている。具体的には、前述の通り、電車や駅の混雑状況の他に、駅での待ち時間を把握できる (上の写真、イメージ)。電車やバスの位置と速度を把握し、遅れや運休でどれだけの利用者が影響を受けるかを推定。更に、利用者に特典を与えることで混雑緩和を目指すインセンティブプログラムも提供している。

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シンガポールで利用されている

Urban Enginesは新興国を中心に導入が始まっている。シンガポール政府はUrban Enginesを導入し、電車の混雑緩和を目指している。運輸を管轄するLand Transport Authorityは運行管理に加え、「Travel Smart Rewards」という名称で、インセンティブプログラムを展開。利用者は搭乗パス (Cepas Card) を利用し、ピーク時前後の時間帯で電車に乗るとポイントを貰える。上の写真がポイント制度で、ピーク時前後 (シェイドの時間帯) に登場すると、通常の3倍から6倍のポイントが貰える。ピーク時の乗客を前後に分散させることが狙い。取得したポイントはキャッシュバックとして、Cepas Cardに還元される。企業もこのプログラムを支援しており、上記に加え、社員に割増ポイントを与えている会社もある。

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スタンフォード大学での研究成果を商用化

Urban Enginesはスタンフォード大学の研究成果を商用化したもの。創業者の一人Balaji Prabhakarは、スタンフォード大学で交通ネットワークの研究に従事。Prabhakarは「Behavioral Economics」というモデルで、人間心理に訴え、通勤時の混雑を緩和する手法を研究。具体的には、「Congestion and Parking Relief Incentives」というシステムを開発し、オフピーク時間帯に通勤すると褒賞を与え、交通渋滞を緩和する効果を検証した。この結果、少ない褒賞で大きな効果があることが分かり、この研究を元にUrban Enginesを創設。現在もこのシステムは稼働しており、専用アプリ「My Beats」 (上の写真) で利用されている。

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人口増加にどう立ち向かうか

Urban Enginesは前述の通り、新興国を中心に導入が始まっている。ブラジルのサンパウロでは、World Bankと共同で、バスの運行管理を行っている (上の写真、イメージ)。アメリカではコロンビア特別区において、電車の運行管理に利用されている。世界の人口は2050年までに90億人になると言われている。増え続ける人口に対応するため、新興国では輸送システム増強が喫緊の課題となっている。輸送量を増強するなどハード面での対応に加え、Urban Enginesのソフト面でのアプローチが評価されてきた。Urban Enginesが目指しているのは、インフラが整っていない国々での輸送力強化にあり、今後、新興国を中心に大きな需要が見込まれる。日本ではSuicaで生成されたデータの解析が進んでおり、Urban Enginesの手法は特に目新しいものではない。日本の高度なインフラ技術輸出の他に、新興国向けには、Suicaデータ解析技術が、混雑緩和に貢献するのかもしれない。

Googleとの関係が深い

Urban EnginesはGoogleとのつながりが強い企業である。Urban Engines創業者の一人Shiva Shivakumarは、Googleでエンジニアリング部門の副社長を歴任。同氏は、AdSenseやSearch Applianceの開発に携わった。また、Urban Enginesへは、Google Venturesだけでなく、元CEOのEric Schmidtも投資を行っている。Urban Enginesは、Googleのコア技術であるデータ解析を都市交通の解析に応用したもので、Googleの注目度の高さが窺える。冒頭のGoogle Y設立の提案と共に、Googleは社会インフラ整備事業に向って動き始めた。